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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2018年1月号
労働環境の大転換期を迎える(1)
働き方改革と生産性向上

Q.「働き方改革」と言われても、月10日もの休日、残業時間削減、賃金上昇、人手不足の中でどうしたらよいか悩んでいます。

1、雇用の大転換期に対応する

大手銀行の人員削減計画が発表され、金融機関でもそこまで来ているのかと仰天しましたが、労使ともに「働き方改革」が単なる残業削減計画ではなく、これから本格的な人口減少期を迎えるため、扉用環境が、大転換期へと向かうための第一歩だと位置づける必要があります。年功序列、終身雇用を前提に1日8時間、職場で定型的な仕事で1日を終えるこれまでの労働環境は、大きく急激に変わっていくと考えられます。

これからの雇用環境を一口で言えば、労働条件が流動化することだと言えます。勤務時間の正規、非正規の区別は無くなり、個人ごとに異なる時間帯を選択する時代に突入します。働く場所も、テレワーク、在宅勤務など多様化します。さらにはダブルワークの導入なども実現しそうです。フリーアドレス制では職場内の定位置も日や時間によって変わるわけですから、労働環境のパラダイムシフトが始まっていると言えます。

一方、規模の大小や業種の違いに関係なく、この様な変化に耐えうる生産性向上が求められています。

2、日本人が慟き過ぎって本当なの

資料1で示されていますが、総労働時間は米国より日本が短く、韓国と比べると400時間も短い。総じてドイツを筆頭とするEU加盟国の労働時間が低いようですが、ドイツでは半分近くの人が家に仕事を持ち帰っているとの調査結果もあります。また、パート労働者の割合が多いほど総労働時間は短くなりますが、一方、ホワイトカラーエグゼンプションや年俸制の導入など多様な勤務態勢を敷いており、単純に比較して長短を決めることはできません。

【資料1】 国別年間総度労働時間の推移OECD資料(単位時間)

国名 2000年 2015年 増減
日本 1,821 1,719 102
米国 1,836 1,790 46
英国 1,700 1,674 26
1,452 1,371 81
1,535 1,482 53
韓国 2,351 2,163 188

3、日本の労働時間の特徴

週休2日制導入により、総労働時間は大幅に削減されました。他方、平日の残業時間の増加も統計的に実証されており、週休2日制により総労働時間が短縮したという効用は認められつつも勤務時間が土曜日から平日にシフトされ、平日の時間外勤務が増加したという面も否定できません。また、日本の労働時間が短縮されたと言っても、4割近い非正規社貝がいることを考えると正規社員の総労働時間、特に男性の実労働時問は統計数値以上に長いと推測できます。また、中小企業よりも、大企業の労働時間の方が長いという指摘もあります。

4、終身雇用制は過去の問題か

生産性向上のため生産性の低い事業から高い事業への労働力の移動が必要と言われますが、年功序列制と終身雇用制が労働力移動の阻害要因と言われています。しかし、資料2で見られるように、すでに産業平均の勤続年数は男性13.5年、女性9.4年と終身雇用制も崩壊過程にあるように見受けられます。中小企業でも社員のスキルアップを図りながら労使一体となって生産性向上を目指す必要があります。

【資料2】 産業別平均雇用年数(厚生労働省平成27年賃金構造基本統計調査)(単位年)

産業 全産業 建築業 製造業 情報通信 運輸 卸、小売 飲食宿泊
男性 13.5 13.5 15.2 14.2 12.3 14.3 9.5
女性 9.4 10.5 11.9 10.0 8.9 908 7.3

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