今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2013年1月号
一、融資態度は変化するのか
しかし、金融機関自身も、この制度の期限切れによって、急激に、これまでと全く異なる厳しい姿勢に転換することを避けたいと考えているのではないでしようか。
(1)円滑化法終了後によってリスケに応じる努力義務が無くなったとしても、金融監督庁による検査マニュアルが、これまで通り「実現可能性が高く抜本的な経営改善計画があれば要注意債権と判断しなくても良い」 としていること。
(2)リスケ要請に応じなかった結果、破綻する中小企業が激増すると、その金融機関も不良債権の累増に伴い、自らの体力を失う結果になりかねません。
例えば、ある融資先に対する5百万円の貸付金が、金融庁の債務者区分によって要管理債権と認定され、15%の貸倒引当金繰入が必要とされた場合を考えると、受取れる金利は、年間15万円(500万円×3%)ですが、貸倒引当金繰入額は75万円(500万円×15%)となり、差引60万円の損失が発生するわけです。このような事態を避けるため、今後、企業の業績基準による選別融資を徹底し、支援する企業と、これ以上の融資は出来ないと区分される企業との仕分けが明確に示されると考えられます。
二、円滑化法の期限切れまでにリスケの申し込みをするべきか
今のうちにリスケの申し込みをするべきか、悩んでいる経営者も相当数見受けられます。以下に示している留意事項をよく検討し、早急に決断してください。資金は企業の血液です、円滑化法終結の有無に関係なく自社の資金繰りを十分に把握し、迅速に行動することが重要です。
(1)リスケを要請すると基本的には、これから少なくとも3年程度の間、新規融資の申し込みは出来ないと考えてください。
(2)手元資金が平均月商の1ヶ月程度を下回っており、更に、現在の取引銀行全部から融資に応じられない旨の態度が示された場合リスケ申請が必要です。
(3)リスケ交渉直前に新規の借入を行い、その後、半年以内にリスケの申し込みをしますと、貸出に応じた金融機関に「だまされた」との悪印象を与え、その後のリスケ交渉が難航したケースがあり、この点も充分に考慮してください。次回は、業績改善計画を中心に進めたいと考えています。