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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2013年4月号

建設業など一部の事業で人手不足が伝えられるなど、経済の停滞感が薄れつつあるように感じます。
一、経済も経営も今後三年間が正念場
「崖っぷちの経済」という危惧の声もありますが、経済も経営も、これからの三年間が勝負どころです。万が一、これからの三年間で軌道に乗らなかった場合は、ダウンサイジングの途しか残っていないと考えられます。

二、経営戦略積極化で閉寒感を払拭する

最近の日本商工会議所の中小企業経営分析の結果によると新分野への進出や成長分野へ事業転換を積極的に進めた中小企業の概ね七十%が売上高や利益が増加したと報告されています。しかし、大企業と異なり、経営戦力の積極化には中小特有の危険性もあります。

三、「俺はそんなに悪い経営者か」

事業を再生するための経営診断報告書で反論された言葉です。この企業は、M&Aを何度も繰り返し、急激な規模拡大を図った結果、社長の思い込みとは異なり、社長を補佐する人材や管理体制が整わず経営危機に直面したわけです。経営者のリーダーシップの発揮とワンマンの独善の経営判断とは紙一重の差だと感じたケースです。

四、失敗に共通する問題点は何か

(1)第一に規模拡大に伴い固定コストが軽減され、結果的に利益が増加するという思い込みが大きすぎる点が上げられます。実際には、これまでと異なる顧客やマーケット、競争相手と勝負するわけですから、管理体制の強化や整備に思った以上のコストがかかります。コスト削減を急ぐあまりこの点に手を抜くと管理不在の放漫経営になりやすいのです。

(2)次に規模拡大に伴う仕入れ力や価格決定権を過大評価する点が上げられます。実際にはその業界の主導的な地位に就かなければそのようなシナジー効果は、限定的、一時的なものになりやすいのです。

(3)顧客のロイヤリティを過大評価する。M&Aなどによって企業買収を図った場合によくあるケースですが、相手会社の客層や固定客の価値を評価し買収を行ったのに経営者が変わったとたん、顧客が離れてしまったり、これまで会社を支えてきた技術者や営業部門の責任者など中心的人材が相次いで退職するケースも稀ではありません。

(4)重要な経営戦力が全て歓呼の声によって迎えられるものでは無いことを自覚すべきです。対立する意見、異なる判断に耳を貸し、全社員を納得させていく姿勢が必要です。

最後に、かつてCEの最高責任者として君臨したジャック・ウェルチの言葉を紹介します。「経営者は一定の方向を定めたらその方向実現の為に死にもの狂いで働け」私への自戒も込めて「皆さん死にもの狂いで働いていますか」。

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