今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2015年11月号
情報が情報を集めて思考停止
1 成果は資料め厚さに比例しない
会議資料を見ると、月次試算表、資金繰り表、商品別売上など、あらゆる情報が提出され、それぞれの部門長が業務内容について説明しています。
しかし、あっちの書類、こっちの書類と探し出すのに精一杯で、何が問題なのか、何をすべきなのかなどまったく不明です。
資料作りにかける時間を考えると、何のための資料なのか大いに疑問です。
この会議の目的すらぼやけて、会議参加者は、資料のページ数の増加が目的化し、問題点を絞り、議論し、実行し、業績アップにつなげていくという思考経路が停止していると言わざるを得ません。
資料を一枚か二枚に削減し、要点をまとめ、討議の時間を十分にとりましょう。
2 オウム返しの目標設定
「今月の売上は計画に対して五パーセントダウンしています」。
「それでは、来月の目標は五パーセントアップとしましょう」。
「取引先Aの実績売上高が三十パーセント減少しています」。
「それでは、取引先Aの売上回復のため、営業担当のBさん、頑張ってください」。
このようなやりとりでオウム返しの計画設定に終わっている企業が多いのです。
売上が減少したのは、どの取引先の、どの商品か、すべての取引先に共通しているのか、競争業者との取引条件の差異など、細かく分析し、具体的な指示をすることにより、生きた計画になります。
会社全体の売上目標や、利益目標の設定の場合も同様です。
当社のモットーは「お客さんの立場に立って対応することです」と言われますが、この場合、当社が考えている顧客が具体的に示されていなければ、言葉だけに終わってしまいます。
顧客の年齢層、年収、生活スタイルなどが明確にされていなければ、その人が企業に求めていることは何なのか不明です。
求めているものが不明であれば、お客さんの立場に立つと言っても立ちょうがないのです。
分析の裏づけがない経営者は、スローガンを掲げているに過ぎないことを自覚してください。
3 「モグラたたき」をうまくやる方法
「モグラたたき」は、やみくもにたたいて、むしろストレスを溜め込んでいる人が多いようです。
よく観察をし、顔を出す場所とタイミングを読むことが成功率を高めます。
さて、相談者の会議においても、参加者からさまざまな問題が次から次へと出ているようですが、提起された問題を整理し、生かしていくためには、工夫が必要です。
経験則ですが、提起された問題の五十パーセントは、当面、解決不可能なものが多く、議論の対象外です。
残りのうち二十五パーセントは、共通している基本的な問題を解決すれば、連鎖的に解決され、最後の二十五パーセントは、解決の時期を後に引き延ばすことで整理されると考えられます。
出された問題を全部、一度に解決しようとするのではなく、整理し、優先順位を付けて解決していかないと、単なるモグラたたき状態で混乱するだけです。