今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2010年9月号
- 日航の厳しい再生計画をみるにつけ、当社においても、更に、基本から見直していきたいと考えています。
- 経営の常識を再度見直すことにより、新たな切り口が見えてくることがあります。
一、会計の常識に甘えるな
経営の常識を再度見直すことにより、新たな切り口が見えてくることがあります。
例えば、会計上の常識では「費用収益対応の原則」が働き、何個、製造(仕入)しても、売れた分に対応する原価だけがコストとして認識されます。
例えば、10ヶ製造し、5ヶ販売されれば、販売した5ヶに対応するコストだけが売上原価として表示され、製造したが売れ残った製品は、棚卸資産として資産計上されます。
しかし、繰り越された製品が資産として計上されるための前提条件は、必ず、売れることを前提としているわけであり、売れないことを前提とすれば、全額をコストとして考える必要があります。
他から仕入れた商品の場合も同様です。このような視点から売上原価を考え直すことが、即ち、売れない時代の経営常識と言えるのではないでしょうか。
二、永年の取引先でコストが上がる
よく経営者は誇らしげに「うちは永年の取引先が多いのです」と云われます。しかし、永年取引で得られるメリットは何ですか、厳密に評価されているのでしょうか。
業績不振企業の取引先を精査してみると、永年の取引先であるが故に、甘い取引慣行がずっと継続しているケースが多いようです。
納入単価をはじめ、取引条件が、曖昧で、特に、建設業などでは、現場監督者と先方企業の担当者が「なあ、なあ」で取引し、割高のコストが放置されている場合が多くみられます。
1年に1回は相見積もりを採るなどして取引条件をチェックすることが必要です。
永年の取引先とは、納入単価、納入日の厳守等取引条件が、新規取引業者より、格段に有利な場合に限って取引を継続をすべきであって、厳しい企業では、永年の取引先であるからという理由だけで、一定期間の取引中断を制度的に導入するなどしてお互いに切磋琢磨していく厳しさを共有しているのです。
三、さらに、もう1歩が欲しい
経費の節約は、どの企業も一生懸命です。しかし、単に、損益科目に準拠した経費の削減をうたっても効果が出ません。
例えば、交際費の削減と云っても、その費目の中には、努力による制御不可能な支出も多いのです。
このため、各科目の内容を、更に支出目的別に分類、精査し、例えば冠婚葬祭費、贈答品費、飲食費、情報費などを相手別、支出目的別等に集計し、個別に、その効果の是非を検討しないと単なるセレモニーに終わってしまう可能性が高いのです。