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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2014年12月号
老舗企業の後継者 誇りと埃と焦りから

一、 敵は本能寺にあり

創業七十年の食品製造小売の三代目です。新しく始めた通信販売の売上は、すでに全体の三十%を占めるまでに成長しているのですが、担当部門の定着率が低く困っています。
通信販売部門は新人が多く、顧客からの発注を受けても商品の大きさや重量、包装容器、セット内容などについての商品知識が低いため、その都度、加工部門に在庫の確認をしますが「そんなことは知らないよ」の一言で片付けられているようです。さらに、大口贈答品の問い合わせが来ても、質問に答えることができず、苦情の処理に追われるなどで、仕事に嫌気がさし、次から次へと退職してしまうのです。

加工部門は先代からの何人もの職人さんが仕切っており口を挟む余地が無いようです。販売部門の定着率向上は、顧客や販売現場の視点から、加工部門の職人さんの意識の切り替えが鍵を握っています。

二、 業歴が古ければ埃も溜まる

創業八十年の家庭金物卸売業です。かつて、五億円ほどあった売上高が今では三分の一までに減少しています。
業歴が長いと看板の埃が目立つようになります。埃というと失礼ですが、従業員、得意先、在庫に問題がある場合が多いのです。この企業の問題点は全道二百軒にもおよぶ得意先数と年商の五十%におよぶ在庫です。先代が全道に張り巡らした得意先は、大型ホームセンターの影響で、ほぼ、じり貧状態です。いま単純に、得意先一件あたりの年間売上高をみると七十五万円、売上総利益額は十一万二千円に過ぎません。平均的なコンビニの顧客一人あたりの年間売上高は九万三千円、売上総利益は二万一千円です。言い方は極端かも知れませんが、自社の得意先は、コンビニ顧客五人分と同水準の利益というのは悲劇的です。

取引数を絞り込めば在庫も圧縮でき、それに見合った従業員の削減もできます。時代に合った、経営全体のスリム化が必要です。

三、 ブランドを磨け

全道で総菜を販売して四十年になります。長男を社長としましたが、新製品の数だけが増えて、ロスも多く心配しています。
当社の全売上高四億円のうち主力三製品が全体の五十%弱を占めています。現社長は、次の主力製品を開発しようと努力していますが、結果伴わず焦っているようです。そこで一つの提案ですが、一人世帯の増加や高齢化などニーズも大きく変化していますので主力三製品を中心とした製品の多様化を図ってはどうでしょうか。例えば、贈答品のセット製品の組合せ変更、小型化製品など、いまのブランド製品のブラッシュアップから始めましょう。

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