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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2010年4月号

会計事務所から、毎月、月次試算表が届きますが、どのようにみればよいのですか?
お刺身は新鮮さが命ですが、月次試算表も同様に鮮度が命です。

一、月次試算表は情報の早さが命。

いくら正確を期すと言っても、3ヶ月も後の試算表では、会計的には意味があっても、経営情報としては、意味がありません。

月次試算表は、一刻でも早く、我が社経営状況を把握し、改善策を講ずるための情報の提供が最大の役割です。

遅くとも、翌月の10日頃までが旬の味です。

二、まず、貸借対照表を観察しましょう。

大切な情報源である試算表をインスタント食品のように、ただ、ポンと積んでいるだけの経営者も希には見受けられますが、最初にみるべきポイントは、貸借対照表主要科目の残高確認です。

通常、皆さんは、最初に損益計算書の売上高や利益を見て一喜一憂されるようですが、しかし、売上や利益や現実に目に見えるものではなく、計算上の数字の累積に過ぎないからです。

これに対して、貸借対照表の現金、預貯金、受取手形、売掛金の残高や、支払手形、買掛金、未払費用、借入金等は、預金通帳や受取手形等の現物との確認や、その他の債権、支払債務等の実在性の確認が出来ることになります。

貸借対照表の資産や負債が現物や補助簿等と一致すれば、複式簿記の構造上、損益計算書の数字の正確性を担保できることにもなります。

さらに、月次試算表と現物や補助簿との確認を行うことが定着すれば、会計処理の間違いや、不正行為の防止にも役立つことになると考えられます。

三、前月との増減をチェックする。

現金(流動性の預貯金も含みます)が前月より増加していれば、第一関門は無事通過です。減少している場合、その原因は何か、原因を突き止める必要があります。

そのためには、貸借対照表各科目の前月比増減をチェックしましょう。会計の世界では、「現金はバランスシートに隠れる」という格言があります。

貸借対照表の売上債権や在庫等が増加すれば、現金や預金が減少し、これら科目金額の減少は、現預金の増加につながるということです、キャッシュフロー経営では、必要外の資産を持たないという基本原則がありますが、正しく、現金と貸借対照表各科目の関係を示しています。

売掛債権や在庫が増加すると、資産の活きが悪くなり、不良債権や不良在庫になりやすいと考えられるからです。

仮払金や前払金、貸付金の増加も要注意です。いつも新鮮な資産の維持が必要だと言うことです。今月の月次試算表は「活きの良いお刺身」の味がしていますか。

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