今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2009年6月号
- 資金繰りで銀行に相談したら、セーフテイネット融資を勧められた。売上が減少しているのに借入金だけが増加していくので不安です。
- 借入金は利益によって返済します。現在のセーフテイネット融資は、緊急避難的な融資でやむを得ませんが、本来は黒字倒産の回避を主目的としており、赤字で、利益償還のめどが立たない企業については、融資の対象外と考えるべきです。
一、お金が消えてしまうのは何故だ
さて「何故、お金がなくなるのか」原因の1つは、恒常的な赤字の垂れ流しにあることは論を待ちません。
しかし、金融監督庁の指摘にもありますが、中小企業では借入金の償還財源である利益が小さく、不安定であるにもかかわらず、金融機関借入金の約定返済期間が3年とか5年程度の短期間であるため、返済財源の不足額を、次の新規借入金に求めざるを得ないため、いわゆる多重債務者的な悪循環に陥っていることも大きな原因です。
従って、返済財源の見通しが、全くたたないのに、セーフテイネット融資に頼らざるを得ない中では、先行き不安になるのは当然です。
- しかし、こんな状況の中で融資に頼らないで資金繰りを緩和する手段があるのですか
- もう、これ以上、借入金を増やしたくない企業や、これ以上の融資はできないと拒絶された企業が資金不足を緩和する究極の手段がリスケジュール(リスケ)です。
二、リスケジュールの活用
これは、当初借入金の約定返済額を、現状の企業の返済能力範囲内に収めるために、返済条件を変更することを言います。
一般的には10年程度(業種によっては15年程度)の長期間に返済期間を引き延ばす要請を行いますから、返済のために借入を重ねていくという悪循環から脱却することが出来ます。
三、リスケの流儀
しかし、実際に金融機関の交渉を行うためには次のような準備が必要です。
(1) 5年~10年程度の収支計画を作成し、現在の赤字体質を3年程度を目途に黒字体質に再生することを具体的な形として示すこと
(2) 借入金利息の支払いは約定通りに行う
(3) リスケ期間中の新規融資は困難なので、手形割引や新規運転資金が必要な企業は、リスケ要請をした銀行以外の新規金融機関取引を準備しておく
(4) 現金に多少の余力があるうちに早めに準備すること
(5) 税金、社会保険等の延滞をしない
※上記の相談は、当事業所に寄せられる数多くのご相談の内の一つです。当事業所では、様々なケースのご相談を承っておりますので、どうぞお気軽にお問い合わせ下さい。