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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2011年4月号

建設業です。売上高が半減していますが従業員を抱えて四苦八苦しています。
中小企業では、職員との人間関係が濃く業績が悪化してもなかなか人員整理ができず事態が深刻化していきます。しかし、心情的な側面には共感できても経営者としての厳しい決断も必要です。

一、企業は付加価値を生み出しているか

ややもすれば売上が回復すれば、即業績が上向くと考えられがちでしたが、最近では売上高が回復したとしても利益が少なく、極端には売上の増加とともに利益が減少したり赤字幅が更に増加するなどの傾向すら珍しくありません。

企業は全員か一体となって付加価値を生み出し企業の継続と社会や地域に貢献していくことが基本的な役割ですから、企業がどの程度の付加価値(企業活動で生み出した価値)を生み出しているかの検証がもっとも重要です。

二、 付加価値の計算

付加価値計算と聞くと難しそうですが、日銀による加算方式で簡単に計算できます。

「付加価値=経常利益+人件費+支払利息+賃借料+公租公課+減価償却費」

決算報告書により3期分を計算し、全体の水準や推移を把握して見ましょう。
売上高に対する付加価値率は、建設業で33.6%、製造業40.9%、小売業24.1%、飲食業48.2%が、業界全体の平均的な数値です。

三、 人件費を計算します。

次に、企業全体の人件費の計算をします。
「人件費=役員報酬+給与手当+労務費+法定福利費+福利厚生費」です。

中小企業では、役員報酬の多寡により利益が左右されるので、社長に多額の役員報酬を支給している場合年間12,000千円としてた方が妥当性があると考えられます。(年間12,000千円程度が標準的な役員報酬です)

なお、12,000千円を超える役員報酬の場合は差額を利益に加えて計算します。

四、 労働生産性を計算します

「労働生産性=付加価値÷平均人員数」で1人あたりの付加価値を計算します。
この数値も過去3期間の推移を見ます。

付加価値額は建設業で740万円、製造業780万円、小売業700万円、飲食業800万円が平均的な数値です。

五、 労働分配率の計算

「労働分配率=人件費÷付加価値」
付加価値のうち、何%を人件費として支給したかを示すものです。

労働分配率は建設業78%、製造業74%、小売業74%、飲食業72%が一般的な数値とされています。

高付加価値による高賃金経営が目指す方向であることを強く認識しましよう。

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