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今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします

2015年10月号
支払いを急がない経営体質をつくる

銀行で散々嫌みを言われながら資金を借り入れたのに一ヵ月も経たないうちに、また資金繰りが苦しくなり困っています。

羽振りの良かった新興企業や業歴の長い老舗企業が業績不振に陥ったときに例外なく見られる資金状況です。これまでお金に苦労していなかったことが原因の一つです。

1 資金繰りの第一歩は「CCC指標から」

「CCC指標」とは、キャッシュ・コンバージョン・サイクルといい、企業のキャッシュフローを検討する数値として、最近重視されています。 原理は極めて単純で、資金回収日数を把握し、回収日数短縮の工夫をすることです。

この場合、必要運転資金三十五日分を短縮するため努力することが重要だということです。

つまり、棚卸資産の保有日数の短縮や売上債権の回収強化はこれまでと同様ですが、同時に買掛金や外注費の支払サイトを延ばして、できれば売上債権回収日数+棚卸資産の回転日数と買掛金などの支払サイトを同じにすることから始めようとするわけです。

2 大口買掛先ほど支払サイトを長くする

年商八億円程度の一般住宅建築業者があります。工事最盛期の金融機関借入金は二億円程度になりますが、三月の決算期には五千万円程度の水準にまで圧縮され、業績も好調です。このような余裕のある資金運用ができるのは、次の三つの点にあると考えられます。

①工程管理が厳格に守られており、材料納入先の納入日や下請企業の工事時期、期間が厳格に守られていること。

②この結果、この企業への代金請求時期、請求金額があらかじめ適確に把握され、それぞれの企業の資金繰りのめどが立てやすいこと。

③人件費を除く、各協力企業に対する支払サイトは顧客からの入金時期に合わせ、支払日を決めているが、最も支払金額の大きい木材、建築代金などは納入時期にかかわらず、最終入金時に合わせ最も支払サイトを長くしていること。

このように工程管理がしっかりとしていることは、単に資金だけの問題ではなく、工事コストの管理、利益管理などがしっかりと経営基盤に埋め込まれていることが要因だと考えられます。

3 資金は信頼の絆です

いつも「お金がない、お金がない」と言っていると、金融機関はもちろんですが、取引先や従業員からの信頼も得られません。これまでは、お金があったから信頼し、こちらの要望も聞いてくれたのです。現在の資金状況をしっかりと把握し、信頼の置ける取引先からの回収サイトの短縮化、支払サイトの長期化などを要請し、真摯に資金と向き合ってください。資金とともに経営全体の見直しにもつながるはずです。

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