今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2015年9月号
勘違いの経営判断
1.コスト削減のわなにはまるな
数宇のわなにはまったのですね。
- 【当初計画売上高1億円】
- 製造総利益率40%(製造利益額4千万円)
- 管理費3千万円(対売上高比率30%)
- 経常利益震1千万円(対売上高利益率10%)
- 【実際の決算数値】
- 売上高8千万円 計画値比20%減
- 製造総利益額3千2百万円(総利益率40%)
- 管理費3千万円 経常利益額2百万円(対売上高利益率2.5%)
先上高が二十パーセント減少したから、利低も二十パーセント減少すると簡単に考えたことが失敗の原肉です。管型費の額も総利益減少額に応じた削減をしなければ、利益の確保はできないのです。当社の場合、辛うじて利益が出ているだけでも良しとしなければなりません。
2.合理化だけでは利益応づながらない
その考え方も、もう少し突っ込んで考えてみる必要があります。製造ラインの合理化は必要なことですが、合理化に伴って生じた機械や労働力の余剰が、直接、利益の獲得につながっていないケースが多く見受けられます。合理化によって生じた余剰生産力が、今後の売上高や利益の増加に寄与しなければ意味がないのです。自社で現状以上の売上増加が見込まれないとすれば、他社からの生産委託などによる寄与を考えざるを得ません。その可能性も低い場合、合理化によって生じた余剰設備の処分や余剰従業民の整理によるコスト削減にまで踏み込まなければ、事実上、利益に寄与しない形だけの経営判断に止まってしまうのです。
3.コストの連鎖が利益に変わる
多少のロスが出ても、常にマーケットにアピールしていきたいという戦略のようですが、もう少し綿密な判断が必要です。
(1)新製品が売れ残っても原材料費は二十パーセント程度であり、ロスは軽徴だと考えているようですが、消費者を対象とする競争の激しい業界では、顧客に対して見栄えの良さをアピールするためのパッケージや包装紙などのコストが極めて大きく、おおよそ原材料費の二倍ほどかかると言われています。
(2)製品が売れ残るということは、単に原材料費の問題だけではなく、原料から始まり、副資材、労務費、包装費など連鎖しているコストの全てが失われ、その上に破棄コストまで発生し、本来、販売までの各過程での付加価値の連鎖を期待されているコストが無駄になります。さらに、新製品の発売停止ということになれば、準備をしていたパッケージ、包装資材などが全てロスになるわけです。
単に顧客の目先を変える程度の軽い気持ちではなく、十分に熟成した新製品を市場に提供する体制づくりが必要だと考えられます。