今月の相談コーナー 毎月 経営に関する様々な疑問にお答えいたします
2012年6月号
- 道内で8店舗を展開している婦人服店です。商品知識や顧客応対など従業員教育を積極的に行い、定着率も高いのに最近の業績は低迷しています。
- 従業員が、ころころ変わるコンビニやファストフード店で、顧客は不満や不便を感じているでしようか。
一、数量と単価によるシュミレーション
これまで、従業員定着率が良いことは、経営者と従業員との厚い信頼感を示すものとして良い企業の代名詞とされまてきました。
しかし、反対に、従業員が、ころころ変わるコンビニやファストフード店で、顧客は不満や不便を感じているでしようか。
せいぜい挨拶程度の希薄な人間関係であることが、気軽な立ち寄りを促進していると考えられます。
もっとも、マニュアル通りの応対に辟易することもありますが。
当社の場合は、全店舗が大型ショッピングセンター内にあり、更に、取扱商品が婦人服である等を考えると、熱心な応対は、顧客に取って、むしろ負担になりやすいと考えるべきです。
顔見知りの店員さんが、親しそうに声を掛けてくれば、冷やかし目的では入りにくいし、更に「いつも安いものだけ買っていく」 などと思われはしないかなど余計な心配をします。
なじみの店員さんには気付かれないように避けて、他のお店に入るなどの購買行動をします。
顔見知りの店員さんがいるお店には購入する商品が決まっている場合にのみ利用するということになりがちです。
二、お店の寿命が尽きかけている
固定客名簿を活用し、積極的にアプローチすることは悪いことではありませんが。
売上の9割が固定客の売上であることは問題です。
一般的に、固定客への応対は時間もかかるし、コストもかかります。お店の立地条件を考えると、出来るだけ多くの人に気軽に入店してもらうことを中心とした店づくりが重要です。
現在の固定客中心の店舗では、店舗としての寿命は尽きかけていると考えるべきです。
三、ジャムの実験を参考に
豊富な品揃えを自慢にしているため売れ残り品が多く、マークダウンが原因で利益率が低いとのことですが「ジャムの実験」を参考にしてください。
アメリカの経営学者が高級スーパーで行ったジャムの展示販売の実験です。24種類と6種類展示した場合とを比較したところ、24種の場合に試食した客数は60%、6種類の場合は40%と差がつきました。
しかし.実際に購入した客数は、6種類の場合には30%、24種類の場合には3%しかなかったと言う実験です。
この実験の示している意味は、注目度においては24種類の方が高いことは事実ですが、それを購入に結びつけるためには、顧客さんが選択に迷うような品揃えは必要ないと言うことです。
品揃えの豊富さは、選択に迷わないような工夫があってこそ成り立つことを示しています。